アーティストコメント

絵画が成立する根拠を問うような仕事がしたいと思い、≪メタクシュ≫というタイトルで絵画作品を制作してきました。≪メタクシュ≫とは、「中間だけにあるもの」という意味をもつ言葉です。一見抽象的に見えるその絵のエスキスは、紙を破いたり折ったりしたイメージからつくっています。キャンバスにパステルなどで予めドローイングした上に薄い和紙の色紙を貼って仕上げています。上に貼る和紙の透過性のおかげで、下層のドローイングが柔らかく透けて見えるような構造を持っています。その透明と不透明の響き合いによって、見えることと見えないことをつくり出し、その「中間だけにあるもの」を拡げていきたいと思っています。

 

今回の作品については、絵画制作と同様に、一つの型をすべての作品の端緒としています。このシリーズの型は、千切った紙の帯を縦横に編んだ(woven)イメージです。

絵画制作を主とする私にとって、本格的な版画制作ははじめてですが、自分の作品と版画の親和性は以前より感じていたところです。それは、絵画制作との違いを見つめることでもありました。「版画はまばたきする」とは、その中から自然に感じとっていたことです。常に表を向いて光に晒されながら制作される絵とは違い、版画とはそのプロセスの中に必ず伏せられてイメージが見えなくなる時間があります。

そのプロセスを目の前に見ていると、ぎゅっと目をつむって目の前の光景を瞼に焼き付けたり、記憶に留めようとする行為の様だと思えました。版画とはイメージと記憶との行き来なのかもしれません。

 

ーwovenⅢについてー

光と影を表現したいと思いました。光に満ちた空間。影に遮られた空間。
光によって生じる影、影によって際立つ明るさ。
モネの《積み藁》のようにそれらが一つのイメージの中に結実することです。

 

作品

年代 : 令和3年

サイズ : 33 × 43.5 ㎝(シートサイズ)

      26 × 32.6 cm (イメージサイズ)

限定 : 1/20

技法 : 紙にリトグラフ・インクジェットプリント

詳細 : シート価格

額装 : 別途ご相談下さい

 

プロフィール

2007 東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻修了 博士号(美術)取得

 

ギャラリーコメント

作品の在り方について思考を続けてきた好地は、自身の作品における「中間だけにあるもの」を広げるという試みを行っている。

「中間」とは、好地が生み出す目の覚めるような色彩の重なりの様にも思える。好地はその重なりを多層的に捉えて、旅するように自由に行き来する。平面の作品であっても、それぞれの層の存在がお互いに影響を与え合っているようだ。そして、幾度も層の順序や過程を変えることで、繰り返し捉え直している。

本作では、まずインクジェットによって粒子のような表情が印刷される。その上には、油性のインクの色面が透明、不透明など様々な様相で折り重なっている。展覧会「またたく間(ま)のいろ」の解説でもあったように、好地は版画の過程において色ごとの版が紙の上に重なる瞬間、つまり、プレス機を通り、また版から紙がはがされるその過程を「またたく間(まばたき)」と表現した。まばたきをする時間は一瞬の出来事に感じられるが、そこに至るまでに様々なプロセスを経ている。目を開いた瞬間に飛び込んでくる目の覚めるような色彩は、多くの層と表情、そして時間を含有し、その見え方は一つとは言えない。

 

 

納期について

この作品の発送は、山﨑 慧 と好地 匠 による展示「またたく間(ま)のいろ」の会期後、2021年12月8日(水)以降を予定しております。

 

Information

Artist: KOHCHI Takumi

Date: 2021

Size: 33 × 43.5 ㎝(Sheet size)

           26 × 32.6 cm (Image size)

Edition: 1/20

Technique: Lithograph on paper, Ink jet print 

Detail: Not framed

Frame: Please ask

 

Profile

2007 Graduated from Tokyo University of the Arts, D.C. of the Fine Arts Department

 

Gallery Commentary

Kohchi, who has been thinking about "the state of Artwork," has been attempting to expand the "in-between" of his artworks.

What Kohchi describes as "in-between" seems to be the space between his vivid colors (or series of layers, including the front and back).

 

He goes back and forth between the layers of color as freely as if he were traveling through them. Even when it is compressed into a flat surface, he does not miss the presence of each layer and the influence each layer has on the other. Also, by changing the order of the layers and the method of layering repeatedly, he tries to reconsider the image.

 

In this work, he prints a particle-like expression by inkjet printing at first. Then, on top of the printed surface, the colors of the oil-based ink are layered in various aspects, such as transparent and opaque.

 As mentioned in the comment for the exhibition "Colors While Our Blink," Kohchi described the moment when the plates for each color overlap on the paper in the process of printmaking, that is, the process of going through the press as "blinking."

The time we blink may seem like a fleeting event, but there are many processes that lead up to it.

The eye-opening colors that pop into our eyes the moment we open them contain so many layers, expressions, and time. There is no single way to see them.

 

Delivery date

This artwork will be shipped after Dec. 8th, 2021, after the period of the exhibition "Colors While Our Blink", by YAMAZAKI Kei and KOHCHI Takumi.

好地 匠 / woven Ⅲ

SKU: KT003
¥50,000価格